なぜそうなるか

外貨預金を預け替えたら税金はかかる?国税庁の質疑応答事例4つで確かめました

外貨預金が満期になって、「別の銀行へ移すだけでも税金がかかるのかな」と気になったことはありませんか。

円に戻していないのだから何も起きていない気がする一方で、預け入れたときより円安になっていれば、含みの利益は出ています。ここは調べても答えがばらつきやすいところです。

そこで今回は、国税庁の質疑応答事例に実際に書かれている文だけを並べます♪

この記事でわかること ・同じ外貨のまま預け替えるだけなら、為替差益を認識しなくてよい ・別の銀行へ移す場合も同じ、と書かれている ・ただし外貨で何かを買った時点では認識が要る ・別の外貨へ交換した時点でも認識が要る ・当サイトは税務の相談先ではありません

同じ外貨のままなら、認識しなくてよいと書かれています

満期になった米ドル定期を、別の銀行へ米ドルのまま移しました。これは課税されますか?

国税庁の回答は「為替差益を認識する必要はありません」です。別の銀行へ移す場合も同じと書かれています。

国税庁の質疑応答事例「外貨建預貯金の預入及び払出に係る為替差損益の取扱い」に、こう書かれています。

為替差益を認識する必要はありません。

照会されているのは、1万ドルの定期預金が満期になり、全額を払い出して同じ日に別の銀行へ預け入れた場面です。 預入時が1ドル100円、払出時が1ドル110円で、差額は10万円という設定になっています。

理由も書かれています。

その元本部分に関しては、同一の外国通貨で預入及び払出が行われる限り、その金額に増減はなく、実質的には外国通貨を保有し続けている場合と変わりはなく

つまり外貨を持ち続けているのと同じだから、その都度は認識しない、という考え方です。

そして別の銀行でも同じだ、という結論がはっきり置かれています。

本件預金の預入及び払出は、他の金融機関へ預け入れる場合であるとしても、同一の外国通貨で行われる限り

条件になっているのは「同一の外国通貨で」のほうです。銀行が変わるかどうかではありません。

では、どこから「認識する」に変わるのか

同じページの並びに、認識が必要と回答されている事例が3つあります。 どれも設定は似ていますが、答えが逆になります。
何をしたか回答
同じ外貨のまま、別の銀行へ預け替えた認識しなくてよい
外貨で建物を買った認識する必要がある
外貨を別の外貨へ交換した認識する必要がある
外貨で外貨建MMFに投資した認識する必要がある
預け替えだけが「しなくてよい」側にいます。

どれも「外貨を持っている人が、その外貨で何かをした」場面です。違うのは、引き換えに何かを受け取ったかどうかだけです。

分かれ目は「外から何かが入ってきたか」です

建物を買った事例には、こう書かれています。

新たな経済的価値(その購入時点における評価額)を持った資産が外部から流入したことにより、それまでは評価差額にすぎなかった為替差損益に相当するものが(中略)収入すべき金額として実現した

外貨建MMFの事例も、ほぼ同じ言い回しです。

新たな経済的価値(その投資時点における評価額)を持った資産(公社債投資信託の受益権)が外部から流入したことにより

「外部から流入した」という言葉が、どちらの回答にも出てきます。

ここが分かれ目なのだと思います。外貨のまま置いておくあいだは、増えたり減ったりしていても評価の差でしかありません。その外貨と引き換えに別のものを手に入れた時点で、その差が実現したものとして扱われる、という組み立てです。

預け替えは、引き換えに何も受け取っていません。だから「外貨を保有し続けている場合と変わりはなく」という説明になります。

一方で建物もMMFも、外貨と引き換えに手元へ入ってきています。ここで線が引かれています。

同じことを、別の外貨への交換についても書いています。

円から米ドルに交換し、これをユーロ等他の外国通貨に交換した場合であっても、その外国通貨への交換時に(中略)差額(為替差損益)が(中略)実現したと考えられます

ドルからユーロへの交換も「認識する」側です。円に戻していなくても、通貨が変われば別のものと交換したことになるという読み方になります。

条文は「同じ銀行」しか書いていません

預け替えの回答は、所得税法施行令第167条の6第2項を根拠に挙げています。

その条文が除いているのは「同一の金融機関に同一の外国通貨で行われる預貯金の預入」です。 条文の字面は、同じ銀行の中の話しか書いていません。

ところが照会されているのは、別の銀行へ移した場面です。条文がそのまま当てはまる場面ではありません。

そこで回答は、この規定を「例示規定であると解されます」と説明しています。同じ考え方が当てはまる場面なら、条文に書かれていなくても同じに扱う、という運びです。

条文に書いてあるからではなく、条文が示している考え方に当てはまるから——という組み立てになっています。

ここは読んでいて、いちばん引っかかったところでした。条文だけを検索していたら、別の銀行のケースは出てきません。

当方が引けたのはここまでです。個別の事情でどう変わるかは、事例の側に書かれていません。

質疑応答事例は照会された場面への回答です。条件が1つ違えば結論も変わりえます。

当サイトは、税務の相談先ではありません

ここまでが、国税庁の質疑応答事例に書いてある内容です。

「あなたの場合はどうなるか」は、事例の側には書かれていません。書かれているのは、照会された場面と、それに対する回答だけです。

それぞれの事例の末尾には、こういう注意書きも置かれています。

この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありません

当サイトは、その判断の材料になる公表されている文を置いておく場所です。実際の申告は税務署か税理士にご確認ください。

まとめ
・同じ外貨のまま預け替えるなら、為替差益を認識する必要はない
・別の銀行へ移す場合も同じ(「同一の外国通貨で行われる限り」)
・外貨で建物を買った時点では認識が必要
・外貨を別の外貨へ交換した時点でも認識が必要
・外貨建MMFへ投資した時点でも認識が必要
・分かれ目は「新たな経済的価値を持った資産が外部から流入したか」

よくある質問

円に戻していなければ課税されませんか

そうとは書かれていません。ドルからユーロへの交換は、円に戻していなくても「認識する必要がある」と回答されています。

銀行を変えると課税されますか

同一の外国通貨であれば、別の銀行でも認識しなくてよいと書かれています。銀行が変わるかどうかではなく、通貨が同じかどうかが条件です。

この記事の内容で申告してよいですか

当方は税理士ではありません。引いているのは国税庁が公表している質疑応答事例で、そこには「一般的な回答」であると注意書きがあります。実際の申告は税務署か税理士にご確認ください。

出典

この記事の文は、上の頁に書かれている表現をそのまま引いています。各事例には「令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています」と記載があります。制度は変わることがありますので、手続きの前に必ず出典の頁で最新の内容をお確かめください。

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